内容証明

遺産相続について

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相続の流れ

被相続人が亡くなる
市区町村長に死亡届を提出する
(7日以内)

遺言書の有無を確認する 自筆証書遺言・秘密証書遺言の場合は家庭裁判所の検認が必要

相続人を確定する
[相続できる人]を参照

相続財産を調査する 相続財産を全てリストアップし、財産目録を作成する

単純・限定承認/
相続放棄の手続き 財産目録にもとづき、検討・手続きを行う (3ヶ月以内)

遺産分割協議を行う
遺産分割協議書を作成する

遺産の分配・
名義変更を行う 不動産所有権移転登記や預貯金の名義変更等を行う

相続税の申告・納付 税務署へ申告・納付する
(10ヶ月以内)

遺言の基礎知識

≪遺言ができる人≫

満15歳に達したものは、単独で遺言をすることができます。法定代理人の同意の必要 はありません。成年被後見人(従来の禁治産者)でも、本心に復しているときは、医師二人以上の立会いがあれば、遺言をすることができます。ただし、意思能力は必要とされており、意思能力のない者のした遺言は無効とされています。

≪遺言のメリット≫

a)自分の思いどおりに財産の処分ができる

実際に相続人が取得する相続分は、次の順序で決まります。 
①遺言(被相続人が遺言で相続人の相続分を指定する)
②遺産分割協議(遺言がなかった場合に相続人全員の合意で決定する)
③法定相続分(遺言がなく、遺産分割協議もしなかった場合)
遺言をしていないと、相続人間の遺産分割協議や法定相続分で相続され、被相続人の意思が反映されません。遺言をしておけば、自分の意思に沿った相続が行われます(ただし、遺留分の制限を受けます)。

b)死後に紛争を残さないようにできる

遺言で遺産分割、子の認知、マイナス財産の処理方法を明確に指示しておくことによって、死後の紛争を未然に防ぐことができます。

≪こんな場合には遺言を≫
 ・自分の死後、遺言によって認知をしたい場合
 ・親不孝な息子に遺産を相続させたくない場合
 ・相続人のひとりに、遺産の全部、または大部分を相続させたい場合
 ・遺言によって、法定相続人以外の人に財産を与えたい場合(これを遺贈と言います)

遺留分

遺贈によれば、他人に財産を残すことも可能になります。ただし、相続人のために最低限残しておかなければならない一定の割合があります。これを「遺留分」と言います。

【遺留分権利者】
 兄弟姉妹以外の相続人(子、その代襲者、配偶者、直系尊属)
 兄弟姉妹には遺留分はありません。

【遺留分の割合】
 1 直系尊属のみが相続人であるときは、遺産の3分の1
 2 上記以外の場合には、遺産の2分の1 
例)
被相続人の妻と母が相続人の場合、具体的な相続における個別的遺留分

  妻:2分の1(遺留分の割合)×3分の2(法定相続分)=6分の2
  母:2分の1(遺留分の割合)×3分の1(法定相続分)=6分の1

遺留分減殺請求

私たちは、誰でも自分の財産を自由に処分できるのが原則です。このことは生前だけでなく、遺言による財産の処分についても言えることです。

しかし、それを無制限に認めると、相続財産がすべて第三者に渡ってしまい、相続人の生活が保障されないというケースも起こり得ます。

そのようなことを避けるために「遺留分」の制度があります。遺留分とは、被相続人が一定の相続人のために法律上必ず残しておいてやらなければならない相続財産の一定の割合のことです。

遺言者がこの遺留分を無視して遺贈しても、遺留分権利者(遺留分の権利を持つ者)はその遺贈を否定して、一定の遺留分を取り戻すことができます。

遺留分減殺請求は、減殺請求の意思表示が相手方に到達したときに効力を生じ、遺贈又は贈与或いは相続により相手方に移転した財産が、減殺請求の時に、遺留分権利者に当然に復帰します。

また、遺留分減殺請求は、相手方に対する意思表示だけで効力を生じるので、必ずしも裁判による必要はありません。裁判によらない場合は、意思表示を証明するため、配達証明付内容証明郵便を使用する必要があります。

もっとも、遺留分を侵害した遺贈、贈与は当然に無効となるものではなく、遺留分権利者が遺留分減殺請求権を行使しない限り、影響を受けないことになっています。

遺留分減殺請求権は、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知ったときから、1年間行使しないと、時効により消滅します。また、知る知らないにかかわらず、相続の開始のときから10年を経過したときも、この権利は消滅します。

遺言の種類

遺言の方式は、大別して、普通方式と特別方式の2種類があり、さらに、普通方式は三つに、特別方式は四つに分けられます。

【普通方式】
 (1)自筆証書遺言 
 (2)公正証書遺言 
 (3)秘密証書遺言

【特別方式】
 (1)死亡危急者の遺言
 (2)伝染病隔離者の遺言
 (3)在船者の遺言
 (4)船舶遭難者の遺言

特別方式とは、死に瀕してる場合や、航海中の船上にいる場合、伝染病にかかって隔離されている場合など、特定の場合に限って行うことができるもので、例外的な遺言なので、ここでは省略します。
一般によく利用されているのは、自筆証書遺言と公正証書遺言です。

(1)≪自筆証書遺言≫
もっとも一般的な遺言です。要件は、全文を自分で書く、日付を自分で書く、氏名を自分で書く、押印するの四つです。
非常に簡単で、手軽に作れるというメリットがありますが、反面、要件が欠けていたため無効になるケースや、紛失したり偽造されるおそれがあるなどのデメリットがあります。また、家庭裁判所の検認の手続きが必要です。

(2)≪公正証書遺言≫
遺言者が遺言の内容を公証人に話し、それを公証人が公正証書として作成するものです。
専門家が作成してくれて保管もしてくれるので確実で安全ですが、多少の費用と手間がかかり、証人2人以上が必要です。家庭裁判所の検認の手続きは必要ありません。
したがって、その遺言公正証書により、すぐに登記等の手続きができます。

(3)≪秘密証書遺言≫
自筆証書遺言と公正証書遺言を組み合わせたようなものです。遺言者が遺言書を作成、押印し、封印して公証人に提出し、遺言者の遺言書であることを確認してもらうものです。
ワープロで書ける、秘密を守れる、偽造変造を防げるなどのメリットはありますが、多少の手間と費用がかかる、証人2人以上が必要、公証人は保管してくれないので検認の手続きが必要などのデメリットがあり、あまり利用されてないようです。

各遺言方式のメリット・デメリット

遺言方式 メリット デメリット 検認
自筆証書遺言 手軽に簡単に作成できる
遺言をしたことを秘密にしておける
費用がほとんどかからない 簡単なミスで無効となることがある
紛失したり偽造される恐れがある 必要
公正証書遺言 専門家が作成してくれる
保管が確実で安全
偽造・変造の心配がない
すぐに登記等の手続きができる 費用と手間がかかる
証人に遺言の内容を知られる 不要
秘密証書遺言 遺言をしたことを秘密にしておける
偽造・変造の心配がない 2人以上の証人が必要
費用と手間がかかる 必要

遺産分割協議を行う

相続財産(=遺産)は、どのように分けるのでしょうか?遺産の分け方は、まず、遺言書で指定されていれば、それに従うことから考えます。

例えば、土地と建物は長男に・・・、預貯金は妻と次男で半分ずつ・・・のように、遺言書で指定されていれば、故人の意思を尊重するという意味でも、それに従うべきです。

ただし、相続人全員の意見が一致して遺言書の指定と別の分割方法を決めた場合は、その分割方法でもかまいませんが、もし一人でも反対する人がいれば、遺言書に従わなければなりません。

ですから通常は、遺言書で分割方法が指定されていれば、それに従うことになります。
遺言書は法的に保護されたものですから、遺言書で遺産の分割方法を決めておくことは、相続をスムーズにすすめるための有効な手段なのです。

遺言書で遺産の分割方法を指定されていない場合はどうでしょうか?

この場合は、相続人どうしが話し合って遺産をどのように分けるか決めることになります。この話し合いのことを、遺産分割協議といいます。

遺産分割協議では、各相続人が法定相続分をもとに謙虚に話し合えば、大きな問題はありません。

しかし近年の相続問題では、もめることも多いようです。

例えば、遺産の金額のほとんどを不動産で占めているような場合では、等分に分けることが難しかったり、換金して配分しようにも換金に時間がかかるとか、そもそも売却先が見つからなかったりとかで、なかなか話がまとまらないようです。

また、被相続人の事業を手伝ったとか、介護の世話をしたとかで、「寄与分」を主張して自分の配分を増やそうとするケースもあるようです。

遺産分割協議がまとまらないようであれば、専門家に相談してみるとよいかもしれません。

分割方法によっては、相続税が違ってくる場合もありますし、将来的にどうしたいかによって、誰が何を相続するのが得策なのか、一般の方では判断できない部分もあるでしょう。
相続税に関しては、10ヶ月以内に申告・納付しないといけないなど、時間的な制約もありますので、早め早めに相談されるのが、問題解決の近道といえます。

遺産分割協議が成立したら、内容を書面にまとめて、各相続人が署名し、実印で捺印します。この書類のことを、遺産分割協議書といい、相続人の人数分作成し、各自保管します。

遺産分割協議書は、後々のトラブルを防ぐためや、遺産の名義変更のためにも必要です。

相続できる人

遺言書の内容と密接にかかわってきます。

【遺言書がない場合】
この場合に相続できる人は、民法によってその範囲・相続順位・相続分が定められており、それらの人のことを、法定相続人といいます。

【遺言書があって相続財産を特定の人に相続させる、または遺贈することを指定していた場合】
この場合は、遺言書の内容が優先されます。ですから、自分の子供や親族以外にも、例えば身の回りのお世話をしてくれた方や、慈善団体などにも、遺言書で指定していれば財産を分け与えたり寄付したりできるのです。

ただし、子供や父母など兄弟姉妹以外の法定相続人には「遺留分」があるので、たとえ遺言書で全額を第三者に遺贈するよう指定していたとしても、遺留分減殺請求を受けて減額されることがあります。

法定相続人の範囲と相続順位

法定相続人に関しては、民法でその相続順位と相続分について定められています。それらのルールをまとめると、下の表のようになります。

相続人 摘  要
1.配偶者は常に相続人
         (変動順位) ・相続人が配偶者のみの場合は、全財産を配偶者が相続しますが、他に相続人がいる場合はその人と同順位になります。
2.子(孫)がいれば子(孫)が相続人となる
         (第1順位) ・配偶者と子が相続人の場合は、相続分はそれぞれ配偶者1/2、子1/2となります。子が複数いる場合は子の相続分1/2を均等配分します。
・子が既に死亡していたり、廃除や欠格によって相続の権利を失っている場合は、それらの子(被相続人の孫)が代わりに相続します。(代襲相続)
・子には、嫡出子だけでなく、非嫡出子、養子、胎児なども含まれます。ただし非嫡出子の相続分は嫡出子の1/2です。(注)
3.子(孫)がなければ父母が相続人となる
         (第2順位) ・父母が相続人となれるのは、子や孫などの直系卑属がいないときだけです。
・配偶者と父母が相続人の場合は、相続分はそれぞれ配偶者2/3、父母合わせて1/3となります。父母ともに健在のときは、1/3を均等配分します。
・子や孫などがいなくて父母ともに亡くなっている場合は、祖父母が相続人となります。さらに祖父母が亡くなっている場合は、曾祖父母が相続人となります。
4.子(孫)や父母などがいない場合は、兄弟姉妹が相続人となる
         (第3順位) ・兄弟姉妹が相続人となれるのは、直系卑属(子や孫など)と直系尊属(父母や祖父母など)がいないときだけです。
・配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合は、相続分はそれぞれ配偶者3/4、兄弟姉妹合わせて1/4です。兄弟姉妹が複数いる場合は、1/4を均等配分します。
・兄弟姉妹に亡くなっている人がいる場合は、それらの子(甥や姪)が1代に限り代襲相続します。嫡出子とは、法律上の婚姻関係にある男女から生まれた子のことで、非嫡出子はそれ以外の子のことです。ただし非嫡出子でも、後に父母が婚姻することにより嫡出子となることができます。

営業時間

平日09:00~18:00

更新情報

2014年10月18日
サイトリニューアル終了しました。これからもよろしくお願い致します。
2014年06月28日
サイトリニューアル開始しました。